兎ノ森とツクラレシ花 Usagino-Mori’s Diary

小企業勤めの小市民のちみっちいココロとノウで書いてみます(仮)

事実と謙虚に向き合えない毎日新聞の耐えられない軽さ③

毎日新聞はメデイアの重い責任を主張しているが、社説からして軽いのはいかがだろうか。

社説:朝日社長会見 メディアの重い責任 - 毎日新聞

毎日新聞は「慰安婦問題」を女性の人権侵害の問題解決と考えてないらしい。

日韓間の「歴史認識問題」という視点で見ている。慰安婦問題は韓国だけの問題じゃない。他の地域でもあったということがわかっている。

それで女性の人権語るとかそれはないだろうに。

これだけでも十分軽いが、毎日新聞含め、各メディアは未だに吉田証言的強制連行のイメージにふりまわされているのであろうか、それともきちんと慰安婦問題を報道する気がないのであろうか。毎日新聞も含めたメディアの軽さはそろそろ勘弁してほしい。

慰安婦狩り」をしたという故吉田清治氏の虚偽証言に基づく朝日新聞慰安婦問題追及キャンペーン報道は、「奴隷狩り」「性奴隷」という誤ったイメージを国際社会に拡散させる結果を招いた。

社説で虚報誤報とは飛ばしてるなあとは思うが、とは言え産経新聞や読売新聞ではよくあることなので、こちらとしてはいささかマンネリ感がある。

そもそも、毎日新聞が「朝日新聞慰安婦問題追求キャンペーン報道」と称するものも「故吉田清治氏の虚偽証言」に基づくものではなく、「政府の関与なし。民間業者がやった」というのが「実は政府の関与があった文書があったと吉見教授が発見し朝日新聞が報道した」ことが「慰安婦問題追求キャンペーン報道に基づくもの」であるのを理解できていないらしい。

自社で報道できなくて、悔しいからといって虚報や誤報をしてもよいというわけではないと思う。

まあ各メディアがいまさらながら「吉田証言記事がー」というのは、元慰安婦の提訴や国が関与していたという文書の発見により、過去の朝日新聞の吉田記事がメディアで再発見され、慰安婦問題=吉田証言的強制連行イメージが撒き散らかし、様々な人が取り憑かれ、メディア自らも取り憑かれたように見えるんだけども。

まあ、それも慰安婦問題を報道した「朝日新聞様が過去報道したところから発見した記事だから間違いない」って取材も調査もせず、無責任に思い込んで報道したことが原因であって自業自得のような気もする。朝日新聞を含めて。

もちろん、国際社会において「性奴隷」という表現は「吉田証言的強制連行」を根拠としていない。クマラスワミ報告書を目の敵にしているようなので、そちらを根拠として出しておこうと思う。

クマラスワミ報告書の定義の部分を見てみたい。

6.特別報告者は、戦時、軍によって、また軍のために、性的サービスを与えることを強制された女性の事件を軍事的性奴隷制の慣行ととらえていることをこの報告書の冒頭で明らかにしておきたい。

7.この点で、特別報告者は、東京訪問中に表明された日本政府の立場を知悉しているが、日本政府は、1926年の奴隷条約第1条(1)に従って、「所有権に帰属する権限の一部又は全部を行使されている人の地位又は状態」と定義される「奴隷制」という用語を、現行国際法の条項の下で「慰安婦」事件に適用するのは、誤りであるとしている。

8.しかし、特別報告者は、「慰安婦」の慣行は、関連国際人権機関・制度によって採用されているところによれば、性奴隷制及び奴隷様慣行の明白な事例ととらえられるべきであるとの意見を持っている。この関係で、特別報告者は、差別防止少数者保護小委員会が、1993年8月15日の決議1993/24で、現代奴隷制部会から送付された戦時の女性の性的搾取及びその他の強制労働の形態に関する情報に留意し、戦時の組織的強姦、性奴隷制及び奴隷様慣行に関する高度の研究を行うよう、同小委員会の委員の一人に依頼したことを強調したい。さらに同小委員会は同委員に、重大人権侵害被害者の原状回復、補償及びリハビリテーションへの権利に関する特別報告者に提出された情報――「慰安婦」に関するものを含むが、それをこの研究の準備に際して考慮に入れるよう要請した。

9.さらに、特別報告者は、現代奴隷制部会が、その第20会期で、「第二次大戦中の女性の性奴隷」問題に関して日本政府から受け取った情報を歓迎し、かつ日本政府が行政的審査会を設置することによって「奴隷のような処遇」の如き慣行を解決するよう勧告したことに留意する。

10.最後に用語上の問題で、現代奴隷制部会の委員並びにNGO代表及び学者によって表明されたものだが、女性被害者は、戦時の強制売春及び性的隷従と虐待の期間中、連日の度重なる強姦と激しい身体的虐待に耐えなければならなかったのであって、「慰安婦」という言葉がこのような被害を少しも反映していないという見解に、特別報告者は完全に同意する。したがって、特別報告者は、「軍事的性奴隷」という言葉の方が、はるかに正確かつ適切な用語であると確信する。

クマラスワミ報告

 これを素直に読む限り、クマラスワミ報告において、「性奴隷」という言葉が使用されたのには、吉田証言的強制連行については一切関係がない。むしろ「戦時の強制売春及び性的隷従と虐待の期間中、連日の度重なる強姦と激しい身体的虐待に耐えければならなかった」から「慰安婦」という言葉より「軍事的性奴隷」という言葉が正確かつ適切な用語であるとラディカ・クマラスワミ氏は行っているわけだ。

当然国際社会はこの定義を踏まえて「慰安婦」は「性奴隷」ということを理解しているのは、今年7月の国連人権規約委員会の日本審査で議長の言葉に表れている。

もし「慰安婦は性奴隷」のイメージは間違っているのならば、まず上記の定義が間違っているといわねばならない。つまり「戦時の強制売春及び性的隷従と虐待の期間中、連日の度重なる強姦と激しい身体的虐待に耐えければならなかった女性」が「性奴隷ではない」ということを主張しなければならない。

吉田証言的強制連行がなければ奴隷ではなく、どんな状態に置かれていたとして奴隷ではない。

この社説は国際社会から見ると人間の尊厳と権利に挑戦することを主張しているとしか思えない。もしかして、もしかするとただ理解してないのかもしれないけど。

日本政府の法的責任部分の反論については、マグドゥーガル報告書に記載、整理されているから紹介すると

(a)国際刑法の最近の研究成果は、過去の行為に遡及適用できない。
(b)奴隷制犯罪の規定は、「慰安所」によってできた仕組みにそのまま適用できるものではないし、また奴隷制の禁止は、第二次大戦の時点で適用可能な国際法の下での慣習的規範としてはいずれにしても確立してはいなかった。
(c)武力紛争下の強かん行為は、一九○七年のハーグ第四条か付属書〔以下ハーグ陸戦規則〕によっても、あるいは第二次大戦時に有効であった国際法の適用可能な慣習的規範によっても、禁止されていなかった。
(d)いずれにせよ、戦争法規は敵国民に対して日本軍が行った行為にのみ適用されるものであり、したがって、日本国民や第二次大戦当時日本に併合されていた朝鮮半島の住民には適用されない。

 日本政府は法的責任を認めたくないばっかりに、旧日本軍は第二次大戦の時点で適応可能な国際法での慣習規範として「強かん」や「奴隷制の禁止」は禁止されてなかったから、国際法上問われるような犯罪じゃないとか、戦争法規は敵国民には適用されるが、自国民や併合されていた国には適用されないとかって反論してるんだが。

いやいやいやいや、言うに事欠いてそれはねーよと思う。

なんせ第二次大戦時の世界は「奴隷制」も「武力紛争下での強かん」も国際法の適用可能な慣習的規範によっても、禁止されていなかったから無問題と主張するんだから。

さらにそのような戦争法規は自国民や併合していた国の住民には適用されない(!!)

日本政府は見事に日本の名誉を汚してる。

それだけではなく、1996年の「人権委員」でもあった日本はかつて、クマラスワミ報告否決を目指し、反論文書を42ページも準備し、国連人権委員会事務局へ提出し、一部の政府代表に配布したはいいが、すぐに特別報告者を不当に中傷していると批判を浴びる。

まあ、ルワンダとかの話に必死で持っていこうとする点や慰安婦問題の今日的な意義を認めず、もう昔の話だから意味ないとか日本政府らしくてこうばしいんが。

しかし特別報告者を任命したのは委員会でその時に反対せず、報告書が出た時点で「あいつは中立じゃない」とかいったらそりゃあかんと思う。

【歴史戦】「クマラスワミ報告書」に対する日本政府の反論文書の要旨+(1/4ページ) - MSN産経ニュース

 参議院会議録情報 第136回国会 法務委員会 第7号

片山さつき Official Blog : 「従軍慰安婦問題に係る国連特別報告書」に関する質問主意書を提出致しましたので、全文掲載します。ご覧下さい。

 片山さつき Official Blog : 先日、内閣に提出しました「従軍慰安婦問題に係る国連特別報告書に関する質問主意書」に対し、答弁書が戻ってきましたので全文を掲載致します。

結局反論文書の撤回を余儀され、隠蔽しようとしたが、国連人権委員会会場で配布され、すでにコピーが出回っていたので、多くの人権NGOがそのコピーを入手して、反論文書の存在がバレバレになり「あ、あれは説明資料っすから」と弁明しなければならなった黒歴史になった。

しかも姑息に「アジア女性基金とかがんばってます」と変えてることがわかる。

(産経新聞は素晴らしい仕事をしたというべき?)

 ちなみに、こういうのは「日本の名誉が汚された」というのではなく

日本の名誉を自ら汚した。

というのではないかと。むしろ自業自得のような気もする。

よく言われるクマラスワミ報告は「事実誤認だー」だから無効にするとかにおいてもラディカ・クマラスワミ氏は、日本政府を含む国連人権委員会の決議によって特別報告者に任命され、日本政府の招待を受けて日本を訪問し、日本政府から情報提供を受けて、報告書を作成したわけで、勝手に報告書を書いたわけではない。

日本政府が適切かつ十分な情報を提供したにもかかわらず十分な報告書にならなかったのならばクマラスワミ特別報告者を批判することができるが、しかし、事実は逆ではないか。

また、特別報告者は、大韓民国および日本政府によって与えられた協力と援助にも感謝の念を表明したい。同国政府は、特別報告者が客観的かつ公平に人権委員会に対して報告するに必要なすべての情報と文書を入手するために、関係分野の人々と討議できるように取りはからってくれた。

のにもかかわらず

第二次世界大戦の直前及び戦争中における軍事的性奴隷の徴集について説明を書こうとする際、もっとも問題を感じる側面は、実際に徴集がおこなわれたプロセスに関して、残存しあるいは公開されている公文書が欠けていることである。「慰安婦」の徴集に関する証拠のほとんど全てが、被害者自身の証言から得られている。

のだから。

もし、報告書に不備があったとすれば、十分な調査をしなかった日本政府、必要な情報公開をしなかった日本政府にその責任があるのではないか。

 だからこそ勧告では

第二次大戦中の日本帝国軍の慰安所及び他の関連する活動に関し、日本政府が所持するすべての文書及び資料の完全な開示を確実なものにすること。

が盛り込まれたのではないかと思う。

クマラスワミ報告後、狭義でいうところの強制連行の資料も出てきています。

「いわゆる従軍慰安婦問題に関連する資料等」に関する質問主意書

 ちなみにクマラスワミ報告は1996年の国連人権委員会53会期は盛大な拍手でクマラスワミ報告者を迎え、「全会一致」でクマラスワミ報告者の活動を「歓迎」し、報告書に「留意」しました。大事なことなのでもう一度言います。「全会一致」です。日本政府も反対できなかったので、国会ではこんなこと言って誤魔化してる。

参議院会議録情報 第136回国会 法務委員会 第7号

4-1 国連クマラスワミ報告 | Fight for Justice 日本軍「慰安婦」―忘却への抵抗・未来の責任

 「あっあの時はあの朝日様が誤報したから国際社会やラディカ・クマラスワミ氏が誤解してたけど、そんな雰囲気じゃなかったから今は違うんだ」って言っても、そんな理屈が通じるのは、クマラスワミ報告の背景や意義、当時の日本政府の行動や見解を全く理解していないメディアと「名誉が汚された」とか言い張ってるおめでたい方々ぐらいだけでしょう。

 安倍首相「朝日新聞が努力を」 慰安婦記事取り消し:朝日新聞デジタル

首相、朝日慰安婦報道に「世界に向って取り消しを」 - MSN産経ニュース

慰安婦誤報、朝日は周知努力を=安倍首相 (時事通信) - Yahoo!ニュース

米紙も朝日会見伝える NYタイムズ、それでも慰安婦問題「日本が数万人の女性に強いた」 - MSN産経ニュース

まずクマラスワミ報告から

日本政府は、1949年8月12日のジュネーブ諸条約及びその他の国際法文書は、第二次大戦期間中には存在しなかったから、同政府は、国際人道法違反について責任がないと主張する。この点に関して、特別報告者は、旧ユーゴスラヴィア国際刑事法廷設置に関する事務総長報告書(S/25704)の34、35パラグラフに次のような記載があることについて、日本政府の注意を喚起したい。

「事務総長の見解では、“nullumcrimesinelege”すなわち、『法なくして、犯罪なし』の原則の適用は、特定の条約に対しては、すべての国家による遵守を求めることができず、いくつかの国家だけによる遵守が求められるという問題が起きないよう、国際法廷は、疑いもなく慣習国際法の一部である国際人道法規則を適用すべきよう要求する………。

戦争被害者の保護のための1949年8月12日ジュネーブ諸条約、1907年10月18日の陸戦の法規慣例に関するハーグ第■条約及びその付属規則、1948年12月9日の集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)、並びに1945年8月8日国際軍事法廷条例に具体化されているように、疑いもなく慣習国際法の一部となった通常の国際人道法のその部分は、武力紛争に適用可能な法である」

事務総長によれば、国際人道法の一定の観点は、疑いもなく慣習国際法の一部とされているのであるから、特別報告者は、国家は、特定の条約の加盟国でなくとも、これら国際人道法原則の違反につき有責とされ得ると考える。

101.“rationetemporis”、すなわち、時間的適用制限原則のために、1949年ジュネーブ諸条約が慣習国際法の証拠ではないとされ、かつ1929年ジュネーブ条約については、加盟国でなかったが故に日本に対して適用可能でなかったとしても、日本は、1907年陸戦ノ法規慣例ニ関スルハーグ条約及びその付属規則の締約国であった。すべての交戦国が条約の締約国でない場合は(第2条)、同規則は適用可能ではなかったが、その条項は、当時機能していた慣習国際法の明白な実例である。ハーグ規則第46条は、家族の名誉及び権利を保護すべく国家を義務づけている。家族の名誉とは、強姦のような恥辱的行為を受けることのない家族内の女性の権利を含むものと解釈されてきた。

102.日本は、1904年の醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買取締ニ関スル協定、1910年の醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買禁止条約、1921年の婦人及児童ノ売買ニ関スル禁止条約を批准した。しかし、日本は、1921年条約第14条の特権を行使し、朝鮮をこの条約の適用除外とする旨宣言した。しかし、これは、朝鮮人でないすべての「慰安婦」がこの条約の下で日本がその責務に違反したことを主張する権利があることを示唆する。国際法律家委員会(ICJ)は/18、多くの事例でそうだったように、被害者がひとたび朝鮮半島から日本に連行された場合は、彼らに条約は適用可能になると論じている。これは、朝鮮女性の場合でさえも、多くの事例で、この条約の下で生じる国際責務に日本が違反したことを示唆する。また、この条約は当時存在した慣習国際法の証拠であるとも言える。

マクドゥーガル報告書では

第1節 法の遡及適用
◆25
 ニュルンベルク裁判当時、被告側と一部の研究者は、人道に対する罪はこの裁判の憲章で新たに定義された罪であり、したがって、被告人たちの行為は、行為の時点での国際法には違反していないため、人道に対する罪での訴追は合法性の原則(「法律なければ犯罪なし」)に反すると異議を申し立てた(33)。日本はアジア全域にわたって「慰安婦」の奴隷化と強かんで国際慣習法に違反する行為を行ったとする元「慰安婦」たちの申し立てについて、日本政府も同様の主張をしてきた(34)

33 Bassiouni(本文注26) p.114~p.139, Appleman(前注25) p46~p.53, Hsu(前注23)p.109, note 84を一般に参照.
34 「女性に対する暴力」特別報告者が提出した報告書追加文書1(E/CN.4/1996/53/Add.1)に関する日本政府見解. 人権委員会第51会期に日本政府が非公式に配布した文書. p.15~p.19, p.23.
国連人権委員会第53会期にクマラスワミ「女性に対する暴力」特別報告者の報告書が提出されたとき, 日本政府は真正面から反論して, 報告書の否決を要求した. 日本政府は「女性に対する暴力特別報告者が提出した報告書追加文書1に関する日本政府見解」と題する反論文書を人権委員会事務局に提出した. 反論文書は公式に受理され, 国連の公式文書番号も決まり, 一部の政府代表に配布された. ところが, 反論文書は「特別報告者は中立性・客観性を欠き権限を逸脱している」と非難し, 「報告書採択は人権委員会の信頼性を失わせる」と攻撃するなど. 特別報告者を不当に中傷するものであることが判明したため, 日本政府は急速, 反論文書を撤回した. 国会質問に対して, 日本政府は文書の存在そのものを隠そうとしたが, 隠しきれなくなるや「説明用の参考資料」にすぎないと答弁した〕

◆26
 第二次大戦中には強かんと奴隷化という国際犯罪は慣習的規範で明確には禁止されていなかったので日本軍の加害行為はその実行時には禁じられていなかったと日本政府は主張するが、その主張は前述のように簡単に論破できる。同様の議論は、五〇年前のニュルンベルク裁判で最初に主張されたときも説得力はなかった。今日でも、これまで述べた理由により、説得力はない。

第2節 奴隷制禁止
◆27
 奴隷制の国際慣習法による禁止は第二次大戦時までには明確に成立しており、第二次大戦後、刑事裁判の準備のために国際慣習法を明文化した東京・ニュルンベルク両裁判憲章に盛り込まれた。国際慣習法としての奴隷制禁止は、戦争法規の下でも単独でも、武力紛争の性質のいかんにかかわらず、また武力紛争でない場合も、実体的違反行為を禁止する。

第3節 強かんと強制売春
◆28
 日本政府は、一九○七年のハーグ陸戦条約の「家族の名誉」という用語を、「慰安婦」を保護する条項として解釈することに反論しようとして、この条約は「陸軍に対する指示という形で、国内法として条約加盟国に受け入れられうるような一般原則を文書化したものにすぎない」と論じた(35)。要するに日本政府は、第二次大戦中、強かん行為は、ハーグ陸戦条約やその他の戦争法規によって文書ではっきりと禁止されてはいなかったと主張している。先に論じたとおりこの解釈は、ハーグ陸戦条約戦争法規を統括する国際慣習法として受け入れられていたことや、武力紛争中の民間人に対する強かんの国際的禁止を他の諸戦争法規が確認していることで否定される。その結果、「家族の名誉」という用語に含まれる強かんの禁止は、第二次大戦当時すでに拘束力をもつ国際法であった。

35 「女性に対する暴力」特別報告者が提出した報告書追加文書1(E/CN.4/1996/53/Add.1)に関する日本政府見解. 人権委員会第51会期に日本政府が非公式に配布した文書, p.24.

第4節 朝鮮の地位
◆29
 日本政府はまた、奴隷化と強かんを禁止する国際慣習法規範は自国内の民間人には適用されず、占領地域の民間人のみを守る戦争法規に基づくものであるとし、そのため朝鮮人女性はその規範では保護されていないと主張して、責任を否定しようとしてきた。根拠は、問題の時期には朝鮮は日本に併合されていたため、この規範は朝鮮人女性には適用できないというものである。

◆30
 日本はこれらの条件の下でも責任を免れない。前述のように、奴隷制の禁止は、戦争犯罪だけに基づくのではない。加害行為が行われた当時の朝鮮半島の領土的地位のいかんにかかわらずこれらの行為は、戦時にも平時にも適用されうる国際慣習法上の犯罪であり、また人道に対する罪であって、国際慣習法の重大な違反として明らかに禁止されていた。その結果これらの規範は、占領地の民間人であったか否かにかかわらず、朝鮮人女性にも等しく適用されるのである。

 マクドゥーガル報告書 [戦後責任ドットコム]

 マラスワミ報告をひっくり返すということは、クマラスワミ報告が示した武力紛争時における性暴力に対する訴追と処罰を否定することを、国際社会に日本が主張することになります。そんなことを国際社会や国連人権委員会が認めるわけがないのは自明の理なのがわからないないのでしょうか。これマクドゥーガル報告についても同じです。

クマラスワミ報告書やマクドゥーガル報告書を否定するってことはそういうことも含め考えないといけない。

それが理解できてなくてなにが「情報戦」「歴史戦」「クマラスワミ報告やマクドゥーガル報告は間違ってる」とかいう日本政府の黒歴史の復活を高らかに主張されても

何言ってんの、お前と言われておしまいだろう。

と思ったら、既に国連自由権規約委員会議長に今年の7月言われてた。

【メモ】国連・自由権規約委員会による日本の第6回報告審査の様子(とくにヘイトスピーチ関連) (5ページ目) - Togetterまとめ

議長は、「意見の対立があるようであるが私には理解ができない。私の頭が悪いのだろうか。「強制連行されたのではない。」といいつつ、「意図に反した」という認識が示されている。これは、理解しにくい。性奴隷である疑念があるなら、日本政府はなぜこの問題を国際的な審査によって明確化しないのか。」

【報告】国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか ~死刑・代用監獄・慰安婦・秘密保護法・ヘイトスピーチ・技能実習生・福島原発事故~ : 秘密保護法対策弁護団

委員会は、戦時中の「慰安婦」は日本軍によって「強制的に連行」されたのではないとしつつ、慰安所の女性たちの「募集、移送、管理」は、多くの場合、軍や軍のために動いた組織によって、強圧や脅迫など一般的に意思に反して行われたとの、締約国の矛盾する立場に懸念を表明する。委員会は、被害者の意思に反して行われたどのような行動も、締約国の直接的な法的責任を伴う人権侵害だと捉えるに十分であると考える。

日本政府の黒歴史反論復活させたところで、クマラスワミ報告による結論を踏まえたマクドゥーガル報告書において「そんなわけねーだろ」ッて否定されていますので、無駄だし、むしろ悪い結果しか生まない。

大体慰安婦問題において日韓の歴史摩擦が激化したのは、そもそも吉田記事の誤報が原因ではない。慰安婦問題の被害者を中傷したり、否定したりすることが原因だったのは、池田信夫氏や西岡力氏を見れば理解できるであろう。

池田信夫氏、また虚偽証言 - 誰かの妄想・はてな版

米国の慰安婦像撤去に向けて戦う日本人 これほどまでに大きい朝日新聞の虚報の罪:JBpress(日本ビジネスプレス)

慰安婦問題の主戦場アメリカへ、日本国民発信の意見広告を出したい | NPO活動を支援する | ファンドレイジングサイト JustGiving(ジャストギビング)

アメリカ国内での日本極右団体の工作活動 - 誰かの妄想・はてな版

【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】潰すべきは「河野談話」+(1/4ページ) - MSN産経ニュース

「ミヤネ屋」が朝日新聞の慰安婦報道について特集「英語で訂正を」 - ライブドアニュース

世界中にばら撒かれた「慰安婦問題」が捏造である「完全なる根拠」 - 雑誌記事:@niftyニュース

  (ちなみに上記の記事と永井和、吉見義明両氏と比べるのは永井和、吉見義明両氏に失礼ってもんです。)

 日本軍の慰安所政策について (永井和氏)

(この研究によって西岡力氏などの「よい関与」説は破綻しているように思うんだが。さらにいうと何故性奴隷というべきかも書いてある。)

「従軍慰安婦」問題と歴史像-上野千鶴子氏に答える(吉見義明) - 東アジアの永遠平和のために (吉見義明氏)

(これは慰安婦問題を語る上で必読。現在の戯言が2009年に既に吉見教授によって指摘されているという重大事実を記憶すべき)

 「いやったあ、朝日が謝った!コレで国際社会も誤解で日本の主張を支持するぜえ」的な安易そのものな考えが

朝日は全然、反省していない」 櫻井よしこさんらが誤報を痛烈批判「言論テレビ」感謝イベント+(2/3ページ) - MSN産経ニュース

日本の立場や外交に深刻な問題を引き起こしているのは、今年の7月の自由権規約委員会の日本審査における議長の発言に現れている。

 【メモ】国連・自由権規約委員会による日本の第6回報告審査の様子(とくにヘイトスピーチ関連) (5ページ目) - Togetterまとめ

国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか(海渡雄一)

今回のセッションには、慰安婦は強制連行されておらず、売春婦だったと主張している日米の団体の人たち約10人が参加していた。セッションでも慰安婦が性奴隷ではないとした政府代表発言に一斉に拍手したり、慰安婦問題について発言したマジョディナ委員をセッションの終了後に取り囲んで糾弾するという事件が起きた。これに対して、ロドリー議長は本稿末尾にも紹介したように、総括発言の中で代用監獄とともに慰安婦問題を「変わらない日本」を象徴する問題として取り上げた。そして、このような行為(慰安婦を性奴隷ではないとする発言に拍手する)ことは、許されない行為であると言明した。

 「日本はいつだって正しいのでなんもいうな」という「無敵で無責任な人」を非難せず批判せず否定せず、放置したままにしておいた政府の責任を追求しなかったメディアの責任は、グローバル時代一層重いことをかみしめていただきたい。

 日韓の歴史摩擦をいたずらに激化させる誤報の放置は、問題の本質を離れて日本の立場や外交に深刻な影響をもたらした。グローバル時代にあって、メディアの責任は一層重いことをかみしめたい

毎日新聞における「元慰安婦の人々の境遇への理解」がこの問題を論ずる入り口という考え方は「慰安婦は売春婦であって性奴隷でない」ということを吉田証言的強制連行の否定によって証明されたと主張する。

しかしそれは「事実にも基づかない誤ったキャンペーン」ということを理解していない。慰安婦問題の入り口はクマラスワミ報告にもある「戦時、軍によって、また軍のために、性的サービスを与えることを強制された女性の事件を軍事的性奴隷制の慣行」と理解すること、つまり「慰安婦問題は戦時性暴力問題」であると理解するべきなのだ。それを二度と起こさないためと同時に被害の救済をどういうふうに行うかということが問われている。それが全ての論の入り口でなければならない。

河野談話も見直すべきではない。談話は組織的な強制連行を認めたものではなく、吉田証言を採用してもいない。軍の一定の関与を認めて過去を反省し、女性の人権擁護に前向きに取り組む、というメッセージを国際社会に送ったものだ。見直せば、日本はこうした問題に後ろ向きな国と受け取られるだけだろう。

いつまで「世界に誇る河野談話」なんてこといってるから、非難され、否定されるべき橋下徹市長の「慰安婦が必要なことは誰だって分かる」や「風俗業を利用しください」等の発言に対し、「日米関係上問題になる」なんてすっとこどっこいなことになるんだろう。

橋下徹市長の発言は、かつての日本軍における性病管理や強姦防止策として「慰安婦」というシステムを肯定していることになるから。日本は慰安婦システムを否定しないことによって再び同じことを考えていると思われる。

既に日本は「女性の人権擁護に後ろ向きな国」としてすでに受け取られている。「河野談話を見直さない」だけではもう「過去を反省し、女性の人権擁護に前向きに取り組むメッセージ」とは思われない。

それが現在の人権における日本の評価であるし、そんなに外れてもいないような気がするのが残念でならない。

新聞をはじめとするメディアがさまざまな問題に光を当て、粘り強く伝えることは、社会的問題の解決や権力監視のためにも欠かせない。ただ、それは正確さと公正な判断が前提になる。不確かな事実に基づくキャンペーンは内外の世論を誤った方向へと導き、問題解決を遠のかせることになりかねない。

新聞をはじめとするメディアがさまざまな問題に光を当て、粘り強く伝えることは、社会的問題の解決や権力監視のためにも欠かせない」ことと知っておきながら、日本政府の主張を最重要視し、国連自由権規約委員会における議長の発言があっても報道しない、批判しない、沈黙を守り、それを支えた新聞各社や各メディアの罪は重い。

【報告】国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか ~死刑・代用監獄・慰安婦・秘密保護法・ヘイトスピーチ・技能実習生・福島原発事故~ : 秘密保護法対策弁護団

 国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか(海渡雄一)

マジョディナ委員が慰安婦問題を取り上げた。河野談話の検証についても質問がなされた。これに対する政府の回答は、これまでの経緯をふまえ、日本政府としては強制連行の事実は確認できないが、当時植民地統治下にあり、「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」なされたと述べた。そして、今後も河野談話を継承すると述べたが、アジア女性基金を超える慰藉措置は示されず、慰安婦を「性奴隷」と呼ぶことは相応しくないと繰り返し述べた。マジョディナ委員は再度性奴隷制という発言は1926年の奴隷廃止条約の定義に基づくと発言したのに対し、政府代表はさらに、「奴隷制度の定義について、条約上の検討をした上で、この制度は性奴隷制の問題ではない。その定義に当てはまるものとは理解していない。性奴隷制度は不適切な表現である」と強く反論した。 

今回のセッションには、慰安婦は強制連行されておらず、売春婦だったと主張している日米の団体の人たち約10人が参加していた。セッションでも慰安婦が性奴隷ではないとした政府代表発言に一斉に拍手したり、慰安婦問題について発言したマジョディナ委員をセッションの終了後に取り囲んで糾弾するという事件が起きた。これに対して、ロドリー議長は本稿末尾にも紹介したように、総括発言の中で代用監獄とともに慰安婦問題を「変わらない日本」を象徴する問題として取り上げた。そして、このような行為(慰安婦を性奴隷ではないとする発言に拍手する)ことは、許されない行為であると言明した。

 このような緊迫したやりとりを背景に委員会は、勧告14項で、規約2条、7条、8条にもとづいて「委員会は、戦時中の「慰安婦」は日本軍によって「強制的に連行」されたのではないとしつつ、慰安所の女性たちの「募集、移送、管理」は、多くの場合、軍や軍のために動いた組織によって、強圧や脅迫など一般的に意思に反して行われたとの、締約国の矛盾する立場に懸念を表明する。委員会は、被害者の意思に反して行われたどのような行動も、締約国の直接的な法的責任を伴う人権侵害だと捉えるに十分であると考える。」としている。

そして、「戦時中、「慰安婦」に対して日本軍が行った性奴隷あるいはその他の人権侵害に対するすべての申し立ては、効果的かつ独立、公平に捜査され、加害者は訴追され、有罪であるとわかれば処罰すること。」「司法へのアクセスおよび被害者とその家族への完全な被害回復措置」「利用可能なすべての証拠の公開」「教科書への十分な記述を含む、学生と一般の人々へのこの問題に関する教育」「公式な謝罪を表明することおよび締約国の責任の公的認知」「被害者を侮辱あるいは事件を否定するすべての企みへの非難 のためあらゆる措置をとるべきことが勧告された。

だからこそ、この問題は日本の過去を問われ、現在を問われ、未来を問われ続けている。結局の人権の問題と考えず、日韓関係の問題や歴史認識の問題であるとして考えるから、毎日新聞は「問題の本質から離れて」しまったのではないか。

女性のためのアジア平和国民基金」による償い事業や歴代首相の「おわびと反省の手紙」など、日本が道義的責任を果たしてきたことを世界に説明し、20万人の少女の性奴隷といった誤解を解く努力をする必要がある。

 再び前述の黒歴史反論文書の復活の主張を言っておいて、なにを「道義的責任を果たした」といっているのか全くわからない。

歴代首相の「おわびと反省の手紙」の後、「謝罪する必要がない」と言い切ったのは当時首相で現首相の安倍晋三氏でした。散々「道義的責任(人として正しい道を守るべき責任)を果たさなかった。すみません。」と書いておいたあと、「あー終わった、終わった。実は日本には道義的責任もねーよ。あれ(慰安婦)なんて作り話だし」とか日本の「総理大臣」や「総理経験者」「与党所属議員」があんだけ暴言を放っておいて「道義的責任を果たしてきた」とか何を言っているのか意味がわかりません。

 河野談話見直し「前政調会長の方針引き継ぐ」 自民・稲田氏「日本の名誉回復国民運動を」 - MSN産経ニュース

 慰安婦問題の反省をゆるがせにせず、誤解は払拭(ふっしょく)していく。大事なのは、その二つを両立させる健全で良質なバランス感覚だ。

 誤解も六階もない。あれだけ「慰安婦報道検証」とか朝日新聞毎日新聞を含め、各メディアは話題にするくせに、きっちりと「慰安婦問題」を「報道」していない。

 ほとんどが「朝日新聞が間違った―。朝日新聞だめだよね。」というような報道だ。

慰安婦問題はいつでもこうやって「不確かな事実に基づくキャンペーンは内外の世論を誤った方向へと導き、問題解決を遠のかせることになりかねない」ことを反省なく繰り返されてきた。もうそろそろいいだろう。

大事なのは「慰安婦問題の反省をゆるがせず」に「慰安婦問題に取り組む真摯な報道姿勢」であって「健全で良質なバランス感覚」ではない。

 

追記 

すみません、駄文使いなので長くなりました。お詫びします。

追々記

誤字などを修正しました。

事実と謙虚に向き合えない毎日新聞の耐えられない酷さ②

前回の続き。

朝日「慰安婦報道・点検」をめぐって:吉田清治証言 国際社会に誤解広める 国連報告などが引用、朝日は影響に触れず - 毎日新聞

 

記事の酷さはこれからますます加速していきます。

 だが、吉田証言はその後も生き続ける。

 96年1月に出た国連人権委員会報告書(クマラスワミ報告)は、旧日本軍の慰安婦制度を「軍性奴隷制」(military sexual slavery)と定義し、日本政府に国家賠償や謝罪、加害者の処罰などを勧告した。報告書は吉田氏の著書を引用し、「強制連行を行った吉田清治は戦時中の体験を書いた中で(中略)1000人もの女性を『慰安婦』として連行した奴隷狩りに加わっていたことを告白している」と記した。クマラスワミ報告について、慰安婦問題に長く関わってきた大沼保昭明治大教授は「不正確な引用を含み、総体的にみて学問的水準の低い報告」と指摘している。

 報告書で慰安婦制度を解説した部分は、オーストラリア人ジャーナリスト、ジョージ・ヒックス氏の著書「性の奴隷 従軍慰安婦」(95年、邦訳も同年、三一書房刊)によったが、同書も吉田氏の著書を根拠に「(慰安婦募集の)他の方法が失敗した場合は、かならず奴隷狩りが行われた」などとした内容だ。

毎日新聞はクマラスワミ報告について何か誤解をしていないだろうか。

そもそもこの報告書はクマラスワミ氏の

クマラスワミ氏は1995年に提出した予備報告書で、「慰安婦」問題について「第二次大戦後約50年が経過した。しかしこの問題は過去の問題ではなく、今日の問題とみなされるべきである。それは武力紛争時の組織的強姦及び性的奴隷制を犯したものの訴追のために、国際レベルで法的先例を確立するであろう決定的な問題である。象徴的行為としての賠償は、武力紛争時に犯された暴力の被害女性のために補償による救済への途を開くであろう」と書いた。明らかに旧ユーゴと戦時の日本における二つの問題の関連を強く意識し、人権を基礎とする平和秩序をいかにつくりあげてゆくかという今日的観点からその解決を探ろうとする意欲を示したのであった。

という目的で出されたものだ。ではなぜ報告されたのか。

人権委員会が女性にたいする暴力の問題を取り上げた直接の背景としては、冷戦構造のもとでのさまざまな人権抑圧が表面化したことと、開発が急速に進行した発展途上国(地域)において直接的な、あるいは社会的な女性にたいする人権侵害が頻発し、明かるみに出されたこと、昨年の国連世界女性会議に結集したような女性の抑圧からの解放と地位向上を求める運動が世界的に高まったこと等をあげることができる。しかしとくに重要であったのは、旧ユーゴスラヴィアにおける内戦の過程で行われた「民族浄化」を名目とする女性にたいする強姦や強制妊娠などと、第二次世界大戦中に日本軍により組織的に行われた「従軍慰安婦」にたいする被害回復の問題が急速に表面化したことであった。

クマラスワミ報告

この背景や「従軍慰安婦に対する被害回復」が問題であったからであろう。だからこそ証言に一章をさくことになり、被害者の心の真実にたどり着くための方法論であったのかもしれない。だから、クマラスワミ報告のあり方が法華狼さんの意見のような形になったのであろう思う。「従軍慰安婦に対する被害回復」が目的であったから「少しでも被害者を取りこぼさないよう」のがクマラスワミ氏がこういった方法論を選んだ理由だったかもしれない。

 吉田証言を少数意見としても肯定的に言及し、当時から削除するべきと批判されていたわけだが、逆に削除したとしても報告書の全体像が崩れるほど重視されているわけではない。この報告書は吉田証言にかぎらず、信頼性の低い証拠や研究にも言及しつつ、全面的な依拠はしないように注意がはらわれている。少しでも被害者をとりこぼさないよう不確かな資料でも言及しておく。これはこれでひとつの方法論ではあるだろう。

 

 クマラスワミ報告書と吉田清治証言と性奴隷認定の関係をめぐるデマ - 法華狼の日記

毎日新聞では言及されていないが、クマラスワミ氏は秦郁彦氏の主張も併記している。

東京の歴史家、千葉大学秦郁彦博士が「慰安婦」問題にかんする幾つかの研究、とくに済州島での「慰安婦」の状況について書いた吉田清治の著書に反論したことを指摘しておく。博士の説明では、彼は1991~92年に大韓民国済州島を史料収集のため訪れたが、「慰安婦犯罪」の主犯は実際には朝鮮人区長、売春宿の持ち主及び少女自身の親たちでさえあった。教授の主張では親たちは娘の徴集の目的を知っていたというのである。議論の裏付けとして秦博士は、1937年から1945年にかけての慰安宿のための朝鮮人女性徴集システムの二つのひな型を示した。どちらのモデルも朝鮮人の親たち、朝鮮人村長および朝鮮人ブローカーたち、すなわち民間人たちが日本軍のために性奴隷として働く女性たちの徴集に協力し、役割を果たしたことを知っていたことを明らかにしている。秦博士はまた大部分の「慰安婦」は日本陸軍と契約を結んでおり、月あたり兵隊の平均(15~20円)の110倍(1000~2000円)もの収入を得ていたと信じている。

ここには「慰安婦高級論」説も紹介しておりけっして毎日新聞のように一方的ではない。クマラスワミ報告もマクドゥーガル報告もあくまでこの流れにおいて報告されていることを忘れてはいけない。「吉田証言」に憑りつかれているのはこう考えると毎日新聞であろう。

この「クマラスワミ報告」についても「米下院外交委員会に慰安婦問題について日本政府に謝罪を求める決議案」についても何故それがだされたのかは一切語らず、「この決議案の議員説明用の資料にも途中段階で吉田氏の著書が出てくる。」と持ち出す。「吉田証言」ここにもあったゲームでもしているのであろうか。

そもそもなぜそのような決議にいたったのかといえば、安倍首相の河野談話を否定するような発言が「日本政府のこの問題に対する不誠実であるということ」のきっかけで「THE FACT」の意見広告がとどめを刺したのではないか。何故それに触れない。

この辺の適当さは異常である。

さらにグレンデールの問題。

 一方、米国内では韓国系団体などの働きかけによる慰安婦碑の設置が相次いでいる。その碑文は「日本帝国の軍により拉致された20万人以上の女性と少女のために」(ニュージャージー州パリセイズパーク市)「20万人以上のアジア人とオランダ人の女性たちが、大日本帝国軍によって強制的に性奴隷にされた」(カリフォルニア州グレンデール市)などと韓国側の主張をベースにしている。「強制連行」認識はなお生き続けている。

ここでも「韓国系団体など」といいう形で「強制連行認識は韓国側の主張をのんだ」ということを書き捨てている。しかし少なくともグレンデール市においては日系団体も協力しているものだし、強制連行について書かれているないに「強制連行」認識はなお生き続けていると結論付ける。

グレンデールの慰安婦碑設置には日系団体も協力しているんですけどね - 誰かの妄想・はてな版

もういいかげんにしろ!毎日新聞!!

書いてて腹立ってきた。

大体、朝日の吉田記事の罪深さは「吉田証言的強制連行」が「慰安婦の強制連行のイメージ」であるという流布につながった(他のメディアによって)、「結果の罪深さ」にある。

それは勝手にイメージを作り上げた「否定論者」や「乗っかったメディア」の本来の責任であり、「慰安婦問題」を真剣に取り上げずあくまで「日韓関係問題」としてとらえた責任であろう。池上彰氏に共通する安易さを見ずにはいられない。

この記事など語るに落ちるだろう。

 ◇事実と謙虚に向き合う

 毎日新聞は常に事実に謙虚であることを肝に銘じ報道にあたってきました。朝日新聞の一連の報道で、「吉田証言」のような軍の組織的強制連行があったとの誤解が世界に拡散したとされるように、報道は社会に大きな影響を与え、外交にも不幸な事態を招きかねません。誤った報道は速やかに訂正し、納得のできる説明をするという報道機関の責務を痛感します。

 今回、毎日新聞慰安婦問題をめぐる朝日報道の内容とその影響について特集しました。毎日新聞の報道についても報告しています。

 一方で、この問題をめぐる混乱が、日韓両国の未来構築をも阻む一因になると懸念します。女性の人権を守るため議論を重ねている国際世論の理解を得られなくなることも心配です。毎日新聞は事実に謙虚に、そして未来につなぐ報道を続ける決意です。【編集編成局長・小川一

吉田証言的強制連行の亡霊にとりつかれ、慰安婦問題についてなにも進んでこなかった少なくとも97年以降、従軍慰安婦のについての研究は進んでおり当時の認識でこの問題を語るから混乱が起こるのである。日本政府とその社会は結局「慰安婦問題」ということにまじめに取り組まなかったのである。

言っておくが吉田記事が国際世論に与える影響より、「慰安婦問題」について日本がどういう対応をとってきたかそれを世界はみているのであり、現在の結論はそれにたいしいてあながち間違っていないことをこの記事をすっとぼけた決意は物語っている。

 

事実と謙虚に向き合えない毎日新聞の耐えられない酷さ①

ひさびさにあまりにひどい記事だったので、毎日新聞の記事を検証してみた。

 朝日「慰安婦報道・点検」をめぐって:吉田清治証言 国際社会に誤解広める 国連報告などが引用、朝日は影響に触れず - 毎日新聞

  まず、この記事は「河野談話検証報告書」を引用しているが、あるところでは「河野談話検証報告書」を無視しているのに、急に「河野談話検証報告書」を引用してくる。

河野談話検証報告書」には前も書いた通り、

1991年8月14日に韓国で元慰安婦が最初に名乗り出た後、同年12月6日には韓国の元慰安婦3人が東京地裁に提訴した。1992年1月に宮沢総理の訪韓が予定される中、韓国における慰安婦問題への関心および対日批判の高まりを受け、日韓外交当局は同問題が総理訪韓の際に懸案化することを懸念していた。

とある。この文章を読めば「韓国の元慰安婦3人による東京地裁提訴」が「韓国における慰安婦問題への関心及び対日批判の高まりをうけた」ことで「宮沢総理の初訪韓」する上での日韓の外交課題(総理訪韓の際の懸念化)に急浮上するきっかけになったと読むのが普通だ。

しかし毎日新聞のこの記事は

  慰安婦問題が日韓の外交課題に急浮上するきっかけになったのは、92年1月11日に朝日が報じた「慰安所 軍関与示す資料」という記事だった。

 としている。

つまりここでは「河野談話検証報告書」を無視した形で記事を書いている。

しかし

 安倍晋三内閣が今年6月に公表した河野洋平官房長官談話(河野談話)検証報告書にも「朝日新聞が報道したことを契機に韓国国内における対日批判が過熱した」という記述がある。

 と急に「河野談話検証報告書」の引用を始める。これは卑怯ではないか。

そもそも「韓国の元慰安婦3人による東京地裁提訴」があって、「韓国における慰安婦問題への関心及び対日批判の高まりをうけた」ために、と「宮沢総理の訪韓予定」が問題ないようにするために、調査を行い「慰安婦問題において日本国家が関与していたかどうか」の調査の結果、日本国家が関与していたことがわかり、「韓国国内における対日批判が過熱した」というのが当然の読み取りだろう。

それと

朝日新聞が報道したことを契機に韓国国内における対日批判が過熱した」のは

政府は当時、「民間業者が連れ歩いていた」として国の関与を認めていなかったため、それを覆す文書とされた。

からであろう。

そりゃ対日批判が過熱してもおかしくはない。だって国家は関係してないからと言ってて関与している証拠が出たわけだから。

だからこそ「河野談話検証報告書」では

1992年1月16日~18日の宮沢総理訪韓時の首脳会談では、盧泰愚大統領から「加藤官房長官が旧日本軍の関与を認め、謝罪と反省の意を表明いただいたことを評価。今後、真相究明の努力と、日本のしかるべき措置を期待」するとの発言があり、宮沢総理から、「従軍慰安婦の募集や慰安所の経営等に旧日本軍が関与していた動かしがたい事実を知るに至った。日本政府としては公にこれを認め、心から謝罪する立場を決定」、「従軍慰安婦として筆舌に尽くし難い辛苦をなめられた方々に対し、衷心よりおわびと反省の気持ちを表明したい」、「昨年末より政府関係省庁において調査してきたが、今後とも引き続き資料発掘、事実究明を誠心誠意行っていきたい」との意向を述べた。

と続くのだ。

この直後に訪韓した宮沢喜一首相は、盧泰愚(ノテウ)大統領に繰り返し謝罪せざるを得なかった。

のはそういうわけである。しかも朝日新聞の記事を加藤官房長官や宮沢首相が読んだからではなく、そういう資料が見つかって当然政府も確認したであろうから、「従軍慰安婦の募集や慰安所の経営等に旧日本軍が関与していた動かしがたい事実を知るに至った」のは当然と思う。毎日新聞は日本政府は新聞で外交を判断するとか何を言っているのだろうか。

今回の毎日新聞の記事、こんなんばっかりである。

記事においてこういった構成をすれば、毎日新聞の言う「誤解を招く」ことになるだろうということは、以下の朝日新聞の紙面の構成を批判する毎日新聞がわからないはずはないではないか。

ただし、朝日は日本国内での慰安婦募集についての通達文書であるにもかかわらず、専ら朝鮮人慰安婦を対象にした文書のように紙面を構成した。さらに「従軍慰安婦」の説明として「太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」と記述したため、慰安婦が「挺身隊」の名で強制的に連行されたとの印象を強く与えた。吉田証言は、このストーリーを具体的に裏付けるものと位置づけられた。

 (偽)兎はこの記事を見ていないので何とも言えないが、少なくとも発見者の吉見教授については毎日新聞だって取材することはできたはずだ。「専ら朝鮮人慰安婦を対象にした文書のように紙面を構成した」というなら吉見教授が内地についての通達としているのに対し疑問を持ってしかるべきだろう。取材しなかったのか。

また

吉田証言は、このストーリーを具体的に裏付けるものと位置づけられた。

これは逆だ。「元慰安婦による提訴」と「慰安所、軍関与示す資料」はここで「吉田証言」を裏付けるというストーリーとして結び付けられる。

「軍が関与した、慰安婦というのは存在した、つまり吉田証言は本当だ」ということであって、本来そうしたことは「吉田証言のメディアの再発見」として語られるべきであり、批判されるべき問題である。しかし敢えて毎日新聞は本質を見落としているのか、故意に無視している。

また、

国内世論の沸騰を受けて韓国政府は92年7月31日、「日帝下の軍隊慰安婦の実態調査中間報告書」を公表した。同報告書には「1943年ころから(中略)19世紀のアフリカでの黒人奴隷狩りのような手法の人狩りで慰安婦を充員することになった。吉田清治氏はその著書の第2章でそうした状況について証言している」との記述がある。吉田証言が真実であることを前提にしたものだった。

これも記事の構成というより、時系列どおりにしないで敢えて誘導しているといわれても仕方がない。

まず92年4月30日の産経新聞および「正論」6月号(5月1日)で「吉田証言に疑義が提起された」が「吉田証言が否定されたわけではないから

一方で、現代史家の秦郁彦氏は、吉田氏が「慰安婦狩り」の現場と称する韓国・済州島での実地調査に基づき、92年4月30日の産経新聞および「正論」6月号(5月1日発売)で証言に疑義を提起した。しかし、ただちに吉田証言が否定されたわけではない。

韓国政府は7月の報告書に吉田証言を真実として前提とした。

しかもこの記事は

1943年ころから(中略)19世紀のアフリカでの黒人奴隷狩りのような手法の人狩りで慰安婦を充員することになった。吉田清治氏はその著書の第2章でそうした状況について証言している」との記述がある。

これは(中略)の部分には「慰安婦動員に上のような方法(詐術あるいは威圧的雰囲気による方法)が通らなくなると」という記述を省略している。

韓国政府による「日帝下軍隊慰安婦実態調査 中間報告書」(1992年7月)における慰安婦募集に関する記述 - 誰かの妄想・はてな版

 これはどういう意図があってそんな略し方をしたのであろうか。

当然この略し方は

 報告書について韓国紙は「婦女子狩り」(朝鮮日報)「ドレイ狩り」(東亜日報)など、大見出しで吉田証言を強調した報道をしている。韓国国民は政府公認の解釈として慰安婦=強制連行を常識とするに至る。

こういう結論を導き出すために行われたとしか読みようがない。資料のトリミングによって誤解を生みだす原因になるではないだろうか。記事によるこういった行為はまだまだ続きます。(続く)

 

駄文使いから池上様への御注進

(池上彰の新聞ななめ読み)慰安婦報道検証:朝日新聞デジタル

まあ、これの件なのですが。

 これが「慰安婦報道検証」を題材にとった「メディア批判」ということであれば、池上彰氏はメディア出身のジャーナリストという視点で「メディアの一般的な対応として慰安婦報道検証に対する批判」というまとめ方をするなら「なかなかするどい視点をお持ち」でということになるのであるが、どうも「批判のつまみ食い」と言った感が拭えない。

慰安婦報道に限らず、誤報やデマは新聞各社非常に多い。ドコモからアイフォンが出る出るといってドコモに否定されるような記事も過去には存在したし、「警察関係者発表」を「誤報」して冤罪事件の片棒を担いだことも少なくなかったように思うが、これに「訂正や謝罪」どころか「検証」が行われたこと自体が少ない。

ちなみに現在の「従軍慰安婦報道」は各社「自社の記事の検証をするべき内容の酷さ」が見て取れる。

 

従軍慰安婦問題における読売新聞の支離滅裂 - 法華狼の日記

 

(偽)兎には、池田彰氏が何故朝日新聞のみを対象に「訂正や謝罪」を要求しようとしているのかが全くわからないのだ。新聞にかぎらず、各メディアの慰安婦問題の基礎知識はひどく、二次文献からのつまみ食いをしただけのような発言の多い藤岡信勝氏を「慰安婦問題に詳しい」といった紹介をすることもある。池上彰氏も「慰安婦問題」についてはどうもあやふやな認識や知識しか持っておられないようにみえる。

例えば「学べるニュース7月7日」の「教えて池田さん」では従軍慰安婦問題について「あまり詳しくない」下手をすれば誤謬や誤解を招くような発言、全くの事実誤認が多く見られる。

 

池上彰連載中止と掲載拒否のハードル - 法華狼の日記

 

「教えて!池上さん」というなら法華狼さんの言うとおり「誤った主張を無批判に紹介する」のはどうだろう。

池上彰氏は「朝日新聞の吉田記事報道」と同じことをしているのではなかろうか。少なくとも慰安婦問題について池上彰氏は「教えて池上さん」と言われて「はい、教えましょう」と解説するだけのものではなかったようにみえる。それならば「僕は詳しくないんで」ということで番組が要望であっても断るべきでなかったのだろうか。

それがおなじように、安易に手を出してしまったが、うまくコラムにまとめきらずに「どっかで聞いたような批判のつまみ食い」のような形に流れてしまったようにしか見えない。それならば無理ならばわざわざ取り上げなくても良いのではなかっただろうか。例えば池上彰氏の上記のコラムと

慰安婦問題は女性の人権問題ととらえるべきではないか | 山口浩

 と比べると視点も切り口も甘いと言わざるをえない。

池上彰氏のコラムも問題はある。

例えば

この時点で、証言の信憑(しんぴょう)性は大きく揺らいだはずです。朝日はなぜ証言が信用できなくなったと書かなかったのか。今回の特集では、その点の検証がありません。検証記事として不十分です。

ということについては朝日新聞の97年の対応については意識的にか削除している。

 東京社会部の記者(53)は産経新聞の記事の掲載直後、デスクの指示で吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという。97年3月31日の特集記事のための取材の際、吉田氏は東京社会部記者(57)との面会を拒否。虚偽ではないかという報道があることを電話で問うと「体験をそのまま書いた」と答えた。済州島でも取材し裏付けは得られなかったが、吉田氏の証言が虚偽だという確証がなかったため、「真偽は確認できない」と表記した。その後、朝日新聞は吉田氏を取り上げていない。

 92年に疑問符が浮かび上がっているのに97年では遅いのではないかという批判であれば、まあわからないではない。ならば「慰安婦報道検証に対する批判」として「97年までなにやってたんだ」とするべきだろう。なお朝日新聞の吉田記事についてはあくまでも「真偽は確認できないとしていたが、虚偽と判断した」ということであって、信用性については97年に本当かどうか不明と掲載し、その後記事を載せないという形で対応している。それでは足りないのだろうか。その辺も池上彰氏は答えない。

池上彰氏の「コラム」と「学べるニュースの教えて!池上さんの慰安婦問題の解説」に共通する「安易さ」はもっと批判されてしかるべきでなかろうか。

 

河野談話もアジア女性基金も慰安婦問題の解決にならなかったわけの一つ

河野談話検証報告書のアジア女性基金についてからかなり杞憂していたことがやっぱり現実だったことがわかった。

元女性基金理事の大沼保昭氏 韓国の慰安婦問題対応に絶望 Chosun Online | 朝鮮日報

元女性基金理事の大沼保昭氏 韓国の慰安婦問題対応に絶望 - 聯合ニュース -

「韓国の強硬姿勢に絶望」 アジア女性基金の元理事 - MSN産経ニュース

 

河野談話検証報告書」においてアジア女性基金は日本の善意と努力が踏みにじられたんだ、フィリピンやオランダについては評価されたけど韓国では被害者団体と韓国メディアのせいでうまいこといかなかったと非難している。

韓国のメディアは「基金」事業を非難し、被害者団体等による元慰安婦7人や新たに「基金」事業に申請しようとする元慰安婦に対するハラスメントが始まった。被害者団体は、元慰安婦7人の実名を対外的に言及した他、本人に電話をかけ「民間基金」からのカネを受け取ることは、自ら「売春婦」であったことを認める行為であるとして非難した。また、その後に、新たに「基金」事業の受け入れを表明した元慰安婦に対しては、関係者が家にまで来て「日本の汚いカネ」を受け取らないよう迫った。

 

じゃあなんで「韓国メディア」と「被害者団体」はそう言ったのか。

ちょっとウィキペディアの「慰安婦の年表」を見てみた。

(まあ、年月の間違いはないだろうと考えてだがもしかして期待のし過ぎかもしれないけど。)

 

慰安婦の年表 - Wikipedia

 

これで見るとアジア女性基金が1995年7月15日に発足した直後である8月15日、政権与党の一つである自民党のある出版物が存在する。

 

政権与党がいきなり否定しております。

 

その後96年の動きは御存知の通り「慰安婦公娼だった」論が始まります。

96年の年表はほとんどのその動きで埋まります。

そうです、藤岡信勝氏や小林よしのり氏を中心としたいわゆる「新しい教科書を作る会」や「自虐史観自由主義史観」ってやつです。

 

当然韓国メディアにしても、被害者団体にしても発足直後のイミワカラン出版物に対して知らなかったとしても、この動きは当然見えていたでしょう。

そりゃあ97年1月にアジア女性基金による償金の支給が始まったもそりゃあうまくいかないだろう。

河野談話村山談話の直後、いきなり「慰安婦公娼だった」「慰安婦なんぞいない」とか否定論者が湧き出てきて、しかもそれが政権与党内の議員から出ているし、しかも議員連盟が出てきたら、韓国メディアは問題視するし、被害者の支援団体は警戒するし、被害者に対しても「受け取ったらあなたは自由売春といわれ、終わりになる」と警戒するのも当たり前じゃなかろうか。

 

総理大臣からの謝罪の手紙についても、償い金がきたとしても。

その意味は変わってくる。

 

韓国との関係は良好としたいが、「謝罪や賠償をしたくない」日本政府からなんとか「謝罪や救済」をなんとかひきだそうとした「アジア女性基金」の努力は大変だったと思うし、それについては評価すべきだと思う。

慰安所問題の被害者の現状を変えようとした「アジア女性基金」の努力は「慰安婦問題の被害者に公式の謝罪や賠償をしたくない日本政府」からなんとかし「謝罪と賠償」を引き出し、出来る限り公式にしようとして失敗したと考えられないだろうか。

 

自分は悪くない。けどそれでは通らないから謝罪とお金を払いますということなのだ。

しかも不十分。

 

身内に足を引っ張られて満足な補償が出来なかった場合、足を引っ張った身内ではなく不十分な補償を拒絶した相手に切れるのは正しいのか? - 誰かの妄想・はてな版

の主張の通りなんです。

 

元女性基金理事の大沼保昭氏 韓国の慰安婦問題対応に絶望 - 聯合ニュース -

 

大沼氏は慰安婦被害者の不幸な出来事をどうにかして払拭することを考えなければならないと指摘。その一方で、慰安婦問題がいつからか極度に政治化してしまったと説明した。

 村山富市政権の1995年に発足した同基金は民間などの募金を基にしていたこともあり、韓国社会の一部から日本政府の責任回避の手段と批判され、償い金の受領を拒否する被害者が相次いだ。

 大沼氏は第2のアジア女性基金を提案することは可能かとの質問に対し、日本国内には、いくら謝罪しても韓国は満足しないだろうという雰囲気があるとした上で、現在の日本の雰囲気では提案を出せないだろうと述べた。

 また日本が慰安婦問題の解決を目指そうとしたことについて、韓国側があまりにも評価しなさすぎたため日本側はダメージを受けたと紹介。朴槿恵(パク・クネ)大統領が、このことを十分に理解しているかどうか懸念しているとの見解も示した。

 さらに、朴大統領が日本に対し慰安婦問題でこれまでよりも強い謝罪を要求すれば、日本社会が許さないだろうと指摘。韓国政府が現在のような強硬姿勢を続けるなら、得られるものはないのではないかとの考えを示した。

 大沼氏は韓国内の元慰安婦支援団体にも言及。慰安婦問題を反日問題にしたことで、問題が変質してしまったと主張した。

だから大沼氏や「河野談話検証報告書におけるアジア女性基金」についても本来語られるべき、河野談話からアジア女性基金における日本国内の否定論者の運動についてもっと批判されるべきだし、語られるべきであった。

日本政府が否定論者に政府の見解と反する論議についてはせめて「不快感を示し、遺憾の意を表明し」非難したとしなければならない。

それが欠けた。

経緯を見ると少なくとも極度に政治問題化させたのはあくまで日本の否定論者と乗っかった政治家やメディアであって(つまりは正当化)、それに反発したりするのは当たり前だ。

「日本が慰安婦問題の解決を目指そうとした」のはあくまでも「日本のガラパゴス慰安婦問題を韓国に納得させようと」だけであったのだ。

 

1.被害者であると認定すること

2.被害者が悪いのではないと認定すること

3.十分な謝罪と賠償を行うこと

4.真相を究明しすること、処罰が必要な場合処罰すること

5.被害者を誹謗中傷する行為を行わないこと

 6.二度と起こらないようにし、周知すること

 

これを拒否した日本に慰安婦問題の解決をしようとしたという評価は難しい。

「日本は解決策を早く示せ」 慰安婦問題で韓国外務省が論評 - MSN産経ニュース

韓国外務省報道官は30日、慰安婦問題について「日本政府は問題の本質と性格を直視し、進行中の局長級協議で被害者が納得できる具体的解決策を早く提示するべきだ」との論評を発表した。

 韓国の憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求で韓国政府が措置を講じなかったのは違憲との判断を示してから30日で3年となることを受けた論評。

 論評は、慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話検証の後続措置との名目で「被害者の名誉と尊厳を傷つける言動は控えるべきだ」と強調し、新談話作成などの動きをけん制した。

 

 「日本政府は問題の本質と性格を直視し、進行中の局長級協議で被害者が納得できる具体的解決策を早く提示するべきだ」

「被害者の名誉と尊厳を傷つける言動は控えるべきだ」

 

とした韓国政府はそんなに強硬姿勢だろうか。

しかし大沼氏にとってそれは日本には受け入れられないことなのだとしている。

それは強硬姿勢になるのだ。

 

 

 

 

 

近年まれにみる呪いの歌(斎藤 千和さん語る)

のうりんレディオでゲストに斎藤千和さんが来たときに話していた「それがねえ、もうねえ、近年稀にみる呪いの歌」を聞きました。

 

やべえ、これやべえっすよ、千和ねえさんw)。

 

斎藤千和さんのプロ魂が・・・・まじっぱねえすよ。

アニメでは1番だけだったが、2番含めて聞くと。

おすすめです。

涙なくしては聞けないべっきーの「魂の叫び」です。ある意味U2を超えたな。

 

 

魂の叫び

魂の叫び

 

 

 

 

 

 

せめて・・・なんだけどなあ。

またぞろ出落ちのタイトル申し訳ないと思います、駄文使いの(偽)兎です。

何故「河野談話検証報告書」を読めというのかです。

本来ならば資料なり研究なりを読んだり、調べたりすればよいと思うのです。

しかし池田信夫氏に代表される「おれ知ってんだぜ、サヨク朝日新聞の陰謀だ的発言」を読むとどうもそうは思えない。

 

 

「陰謀」大全 (宝島社文庫)

「陰謀」大全 (宝島社文庫)

 

 

問題にかかわる資料や研究を一向に調べもせず、つまみぐいの知識でおれ知ってるぜ的知的怠慢が恥ずかしくもないのか、もしくは炎上商法なのか、露悪的に披露されておれれるのである。

なんかアインシュタイン相対性理論は間違っていると発言する市井の方々によく似ておられる。

 

池田信夫氏で言うと

池田信夫 blog : 朝日新聞は慰安婦問題の本質を直視せよ

、原文を読めば「慰安婦を誘拐するな」という業者に対する監督の文書であることは明らかだ。だからこれは秘密でも何でもなく、防衛研究所の図書館で公開されていた。

これは典型的な「軍のよい関与説」である。

秦郁彦氏もそれを主張されていのは(偽)兎も知っている。

しかしこういった研究はご存じだろうか。

 

日本軍の慰安所政策について

 

 これは京都大学の永井和先生の研究だ。この研究を読めば池田信夫氏の主張しているような「よい関与説」に対する素晴らしい反論である。これは(偽)兎ですら少し調べれば読むことができた研究だ。しかもウィキペディアにすらそれはのっているのだ。池田信夫氏は「よい関与」説を主張するからには当然その説に反論があり研究ながあるのを御存知なのだろう。しかもその反論をうちやぶれる資料に基づいた研究をなさっているのだろう(多分してないと思うが)。

 

でこんなんばっか。

 

池田信夫 blog : 慰安婦問題は朝日・福島・吉見の共同制作

 

 

当然共同制作と主張するからには吉見氏の研究をくつがえすだけの史料やら研究やらをしているのだろう。当然共同制作というからにはその証拠やら「裏付け」やらをしているのだろう。「彼らは左翼であるから○○に違いない」というのは「裏付け」ではない。それは「思い込み」でしかないかもしれないからだ。

少なくとも池田信夫氏の次のような記事も

 

池田信夫 blog : 「軍の関与」は争点ではない

池田信夫 blog : 主犯は吉見義明氏である

 

「思い込み」や「憶測」にすぎず、「主張」もあくまで池田信夫氏がしているだけだし、「証拠」といっているのも「他の理由が考えられる」ので「決定的な証拠ではない」のは読めばすぐわかる。

池田信夫氏の「慰安婦問題」新説も似たようなものだ。

入門と書いてあるが、単に池田信夫氏の主張を述べただけで一切勉強にならない。

 

(PDF) NY タイムズのための「慰安婦問題」入門

 

永井和先生のような真摯な態度はそこにはない。

 

池田信夫氏みたいな方はご立派すぎて下々の一般ピーポーの目に入るようなもには目を通さないのであろう。

 

そこで「河野談話検証報告書」なんです。

 

正直、個人的にこの「河野談話検証報告書」については検証メンバーの選定の仕方から言って「それはあかんやろ」と思うし、内容も批判を浴びていいようなものであると思う。

しかし「政府の調査の発表」だ。

それは批判するにしろなんにしろ目は通すべきだし、お偉方はそれを理解すべきだ。

 

当然朝日の吉田記事が慰安婦問題の出発点ならば、それはその報告書に記載されるべであるし、当然吉田記事の批判者である秦郁彦氏がチームに入っていればなおさらなのだ。「入れるべき」なのだ。なのに「入っていない」。

「政府の発表」に対し反論するべきだし、先日のエントリの初めに会ったような批判が上がってしかるべきなのだ。

 

朝日新聞の批判するよりもだ。

 

まあ安倍首相やら石破氏など政府与党の重職にあり、ましては調査をさせた本人が「報告書」も読んでないからと言って「読まなくていい」って判断したかもしれないけど、それなら現代史家秦郁彦氏が不憫すぎる。

発表時も吉田記事に負け今を持って吉田記事に負けるとは。

支持者ですら注目しないとは。

 

追加

法華狼さんの記事

クマラスワミ報告書と吉田清治証言と性奴隷認定の関係をめぐるデマ - 法華狼の日記

を読んでリンク先の

クマラスワミ報告

を読んだ。

この報告書別に吉田証言なくても成立するし、吉田記事に疑問であるという秦郁彦氏もきちんと取り上げている。吉田記事の反論も取り上げられていて何が不満だ?まず思った。

だからね、言及するならきちんと読もうね。

孫引きだけの発表は研究者に対する冒涜と思うよ。

 

東洲斎冩楽はもういない (講談社文庫)

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ううっカテゴリが難しい・・・