兎ノ森とツクラレシ花 Usagino-Mori’s Diary

小企業勤めの小市民のちみっちいココロとノウで書いてみます(仮)

歴史戦文春出張版にしてしまった山口氏が残念。

 相変わらずのくだくだクオリティの歴史戦記事。

 

www.sankei.com

特に秦郁彦氏のコメントがひでえ。

現代史家の秦郁彦氏「ベトナムにおける韓国軍の住民虐殺、強姦はつとに知られていたが、その陰に隠れて慰安所経営にかかわっていたことが判明したのは、公文書では初めてだと思う。引き続きさまざまな公文書が出てくることを期待する。今後、米国にいるベトナム難民移住者らが声を上げる可能性もあり、韓国に旧日本軍のことを言う資格はないという意見も出るだろう

 あまりの雄弁さに、秦郁彦氏は歴史家(歴史学者)廃業かと思ってしまった。

産経新聞の掲載されたコメントは単なる政治運動家の発言であって、腐っても秦郁彦氏は「戦場と性」の著者のコメントとしては正直立派とは思えない。

さて、週刊文春の記事の件である。

BSワシントン支局長の山口敬之氏が考えていたことは、慰安婦問題に韓国政府が蓋をしたくなるようにすることで、慰安婦問題についての軋轢を回避し、と和解へと導きたいというのが取材を通して彼が考えたことのようである。

政治部として外務省担当、官邸、キャップとしてのキャリアを見てから、取材のきっかけを読むと、外交関係者からの韓国軍慰安婦の資料発見の依頼のように見える。

それもいいよ別に。

ただ文章を読むと本当にこの人にとって大事なのは、慰安婦問題は政治的決着という問題であって、慰安所というのがどうでもいいことがわかる。

いろいろ取材したのにかかわらずだ。

こういったスタンスは産経新聞の歴史戦やコメンテーター秦郁彦氏の視線とほぼ変わらない。

旧日本軍における従軍慰安婦問題については、自らの歴史として日本人が引き受けるべき問題であって、それがどういうことかということを考えることは、韓国軍に慰安所があったこととは全く別のことだ。

旧日本軍の従軍慰安婦問題と韓国軍慰安所の問題(朝鮮戦争ベトナム戦争時)の関連性、戦後の特殊慰安施設協会いわゆるRAAに関する問題だってつなげて考えていくことができただろう。慰安所というものについて、戦時下や戦後も含めて、戦争と性に対する取材として考えることができるだろうが、彼はどうも韓国という国家や朴槿恵大統領にしか目線がないようである。

貴重である彼の取材は彼が考えていた結論より

むしろ法華狼さんの

d.hatena.ne.jp

 のようなエントリや

scopedogさんの

d.hatena.ne.jp

 のような検討につながれたのではないか。そのような視点でのとらえ方はなかったのか。旧日本軍の慰安所や日本政府によって作られた特殊慰安施設協会についてはどうだったのか。その延長にベトナム戦争における慰安所はなかったのか、何故慰安所ではなく性産業としてのトルコ風呂という名称だったのか。

そのあまりに政治的すぎる姿勢により、結局は歴史戦文春版になってしまった取材まが残念すぎてならない。